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イニシエーション・ラブ

背表紙にこんなことが書いてある。 僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説――と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は…

我孫子武丸『殺戮にいたる病』

サイコホラーじゃんか!グロイ!キモイ!と、何度も本を置きそうになったが、結局のところ最後まで一気に読んでしまい、しかも最後に待ち受けていた衝撃は噂にたがわぬものだった。殺戮にいたる病 (講談社文庫)作者: 我孫子武丸出版社/メーカー: 講談社発売…

東野圭吾『仮面山荘殺人事件』

事故死した婚約者の家族や親戚たちと別荘へ行くと、銀行強盗犯が侵入し、人質として自由を奪われる。そんな中、1人が殺害されるが、強盗が犯人ではなく、身内の犯行であることは明白だった。いったい誰が、どうやって、何のために・・・推理小説なはずなの…

エラリイ・クイーン『Yの悲劇』

前作『Xの悲劇』を未読のまま『Yの悲劇』を読んだけれど、知識が不足することなく読み進めることができた。あまりに有名な作品なので、読む前にオチを知っていたこともあるのだろうけれど。読み終わったとき、ポー『モルグ街』を読んだ時に生まれた感情に…

アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』

手塚治虫が漫画の神と呼ばれるのは、彼の漫画のDNAを継承している作品が数えきれないほど存在するからだ。「この設定、どこかで見たことあるな」と思ったら、だいたい手塚治虫の作品を思い出すと既視感の答えが見つかる。『そして誰もいなくなった』もミ…

殊能将之『ハサミ男』

本屋に行くと読み切れないほどたくさんの本が平積みされていて、「○○万部突破!」とか「話題沸騰!」とか購買意欲を煽る(?)ポップが目に留まる。いちおうタイトルや表紙を眺めて、気になったものは手に取ってみるものの、うーん・・・と悩んでしまうときの…

米澤穂信『インシテミル』

怪しげな高給バイトに応募して、地下深くにあるシェルターのような施設「暗鬼館」で老若男女が7日間生活をして、次々と命が奪われていって……という話。純粋なクローズドサークルというより、バトルロワイヤルに似てるといえば似てる。現代版のクローズドサ…

横山秀夫『動機』『深追い』『真相』

『動機』は日本推理作家協会賞の受賞作。全体的に鬱屈としていて、読後感が重い。主人公に共感を持てないせいか物語に没入することができず、途中何度も本を置いてしまった。ただただこういう作品が苦手なだけなんだけど・・・。動機 (文春文庫)作者: 横山秀…

横山秀夫『陰の季節』『顔 FACE』

『陰の季節』 D県警シリーズ第1弾。刑事モノではなく、警察の内偵を主題にした短篇集。 天下り先を辞めようとしない大物OBを説得する警務課調査官「陰の季節」お水と関係を持っている警察官がいるとの内部告発(デマ)の犯人を探す監察官「地の声」お手柄を…

横山秀夫『半落ち』

アルツハイマーが進行した妻に懇願され、手に掛けて自首した警察官。 動機や状況はすべて自供するが、犯行から殺害までの二日間のことだけは口を割らない。 このままであっても十分に起訴は可能。 しかし、現職警察官による嘱託殺人であり、速やかにマスコミ…

Fantasy Seller

Story Seller シリーズのファンタジー版。ファンタジーというジャンルが短編に向いているのかも知れない。 それぞれの完成度が高く、最後まで飽きがこなかった。 畠中恵『太郎君、東へ』 河童の大親分・禰々子と利根川の化身・坂東太郎の話。 さらっと読める…

Mystery Seller

Story Seller シリーズのミステリー版。短編とはいえ8本ものミステリーを約580ページの文庫本に詰め込むというのは、 おもしろい試みだったと思うんだけど、全体的に完成度が・・・。 島田壮司『進々堂世界一周 戻り橋と悲願花』 140ページも割いているだけ…

山本周五郎『ならぬ堪忍』

平均30ページの短編13本。時代モノとはいっても貧乏侍が主人公のことが多く、史実を知らなくても楽しめる作品ばかり。人物もストーリーも魅力に溢れていた。他の本も読みあさることにしよう。ならぬ堪忍 (新潮文庫)作者: 山本周五郎出版社/メーカー: 新潮社…

横山秀夫『ルパンの消息』

登場人物が息をしていて、エネルギーに満ち溢れていた。高校生だった少年たちも、回想から必死に手がかりを探す警察も。ルパンの消息 (光文社文庫)作者: 横山秀夫出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/04/09メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 18回この商品…

羽生善治の将棋の教科書

何気なしに観た竜王戦にすっかり興奮してしまった勢いのまま、 父に「年末に帰った時に将棋を指そう」とメールを送ったら、 「OK牧場」と返信が来た。なかなかの速さだった。 父は「遊び」に関して何事もそこそこ上手い。 将棋も、麻雀も、競馬も、挙句はフ…

決定版 幻想世界の幻獣・討伐者ベストセレクション

1ヶ月くらい前にコンビニに並んでいて衝動買いした本。 ゲームや小説に登場する「幻獣」を1ページにまとめて紹介している。 ベヒモスのアラブ読みがバハムートであり、炎を吐く龍ではなく海に棲む化物だとか、 フェンリルが凶暴な巨体の狼だとか、スレイプニ…

西村京太郎「殺しの双曲線」

西村京太郎といえば、シリーズ化された旅行モノのミステリー作家というイメージがあまりにも強くて、そのうち読もうとは思っていたものの、シリーズを読破するには時間がかかりすぎるので、敬遠がちになってしまっていた。ところが、彼の初期作品には、雪山…

宮部みゆき「レベル7」

中学生の頃に読んだと思い込んでいた。半日、病院で過ごすことになり、何か暇つぶしにと、ふと書店で単行本を手にとってみたら、ぜんぜん中身を知らなかった。自分にビックリ。文庫本にしてはなかなか分厚い。読んでいる途中でなんとなく犯人はわかったし、…

森博嗣「すべてがFになる」

ものすごく端的に説明すると、大学助教授と天才学生(非常に裕福な家系のお嬢さま)が夏合宿先の孤島にある研究施設で事件に遭遇して解決する物語。天才+天才 vs 世紀の天才という少年漫画ばりの設定にも関わらず、説得力のある天才像を描けるのは、作者が現…

横山秀夫「第三の時効」

F県警 捜査一課 強行犯捜査一係〜三係の活躍を描く連作短篇集。登場人物たちの強烈なキャラクターと緻密なストーリー展開に没入して、取り憑かれたように一気読みしてしまった。生々しいまでの覇権争いがエネルギーに満ちているからだろうか、疲れを忘れて読…

東直己『バーにかかってきた電話』

「探偵はバーにいる」に続く、すすきの探偵シリーズ2作目。紛らわしいけど、映画のタイトルは「探偵はBarにいる」なのに、映画化されたのは本作らしい。すでに映画は続編が決定しているらしく、2013年に公開予定らしい。 らしい、というのも、まだ映画を見て…

近藤史恵『サクリファイス』

サクリファイス(犠牲)とは。ロードレースを舞台とした心地よいストーリーと、悲劇。 ロードレースとは、エースのために他のプレーヤー(アシスト)たちが犠牲となるスポーツ。 しかし、この小説では、もうひとつの犠牲を描いている。 3度読み直して、3回と…

桜庭一樹

たくさん読んだので、簡単にレビュー。 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』 『推定少女』 『少女には向かない職業』 『ブルースカイ』 『赤×ピンク』 『ファミリーポートレイト』 『赤朽葉家の伝説』 『私の男』 読んだ順序に並べてみて、これで正解だったな…

年末年始に読んだ本

忘れそうだからメモ。 北条時宗 前編 新星誕生 北条時宗 中編 執権起つ 北条時宗 後編 蒙古来襲 宇宙と太陽系の不思議を楽しむ本 経営分析の知識 (日経文庫) 取締役の法律知識 (日経文庫) 会社法の仕組み (日経文庫) 下の3冊は読みかけ。どこで何を書いてあ…

微分・積分を楽しむ本

[ISBN:4-569-65702-8:image]工学系出身なのに微分・積分の計算ができない。最初の理由は それはどのような場面で必要とされるのか実感できない それを使うとどうして便利なのか理解できない それが何を表していて、どうやって問題に適用するのかわからない …

『愛蔵版【図解】ビジネス理論 30分速習ノート』(PHP出版)

聞いた事のあるような高名な経済学者とその理論を簡単に説明している本。図で説明されているので、とてもわかりやすい。まぁでも「30分速習」じゃない。サクサク終わる。図解ビジネス理論30分速習ノート―できるビジネスマンに変わる!コトラー、ドラッカー…

『CppUnitによるXP‐eXtreme Programming‐実践テスト技法』

具体的にリファクタリング(テスト)を体験してみるために購入。CppUnitによるXP-eXtreme Programming-実践テスト技法作者: 大月美佳出版社/メーカー: 秀和システム発売日: 2003/07/10メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (8件) を見る

パターン指向リファクタリング入門

リファクタリングは、制約理論(TOC)の「継続的改善ステップ」に似ている、かな。 (この本でも書かれているように)開発の現場では 作りこみすぎ(over-engineering) 作りこみ不足(under-engineering) が多い(しかも、後者のほうが圧倒的に多い)。 こ…

C++プログラマ必読3冊『Effective C++』『More Effective C++』『Effective STL』

言わずと知れた3冊。 Effective C++ 【改訂第2版】 アスキーアジソンウェスレイシリーズ―Ascii Addison Wesley programming series More Effective C++―最新35のプログラミング技法 (ASCII Addison Wesley Programming Series) Effective STL―STLを効果的に…

Andrei Arexandrescu 著『Modern C++ Design』

書店で見かけて、ついつい購入。Modern C++ Design―ジェネリック・プログラミングおよびデザイン・パターンを利用するための究極のテンプレート活用術 (C++ In‐Depth Series)作者: アンドレイアレキサンドレスク,Andrei Alexandrescu,村上雅章出版社/メーカ…