すばらしき世界 (2020)

殺人による13年の刑期満了後に出所した人物の話。

原作は佐木隆三による1990年発行の長編小説『身分帳』ということを考えると、登場人物の役職やストーリーは現代に合わせて変更されているはず。暴力団対策法は1992年施行だし、メディア関係者や福祉介護施設の描写が現代的であり、時間軸を現代とすると違和感が少ない。時間軸を変更する必要があったのかどうかは別として。

本編とは関係がないが、過去の犯罪・事件について調べると、佐木隆三の著書にいきあたることが多く、名前は知っていたが、彼の著書は読んだことがない。そのうち1作くらいは読んでみようと思う。

METAL GEAR SOLID | HD EDITION

ノーキル・ノーアラート・クリア達成。

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あらためてプレイしなおしてみると、METAL GEAR SOLIDの世界観に現代の技術が追いついてきて、さらに広い世代に訴求できるテーマになっている。いくつかは未来になっても追いつかないだろうから普遍性が高く、半世紀後にもプレイする人間がいる作品かもしれない。

小島監督が在籍していた当時は、FOX ENGINEを使ったリメイクに期待していた。いまとなっては、カットシーンを模倣するだけの薄いリメイクになりそうな予感がするから、リメイクは期待しないことにした。

彼が去った後に発売された『METAL GEAR SURVIVE』は、FOX ENGINEが使われているから操作性は良かったが、BGMはシリーズの音楽の使いまわし、マップは5を元に改造を加えたもの(だから時代背景の整合性がとれていない)、ストーリーはMETAL GEARとは無関係であり、テーマや主張が何もないプレーンな印象のゲームだった。

そして、彼が新たに立ち上げたコジマプロダクションの『DEATH STRANDING』は、Guerilla GamesのDecimaエンジンを使って高い表現力・操作性を実現し、世界的に有名な俳優を起用し、シーンごとに音楽を選び、いわゆる作業ゲームと揶揄されるようなサブクエスに対して中毒者が続出するようなゲーム性を持たせ、分断された世界を「つなぐ」という未来を予見したようなテーマを持っていて、すでに続編が発表されている。

これはもう才能というほかない。メタルギアは最高に好きなシリーズではあるが、将来に期待を持てない最大の理由は「制作に関わる人間」の違いだ。

PS4/PS5でプレイしたいから結局は買ってしまったが、単純なHD化による再販でも売り物になるのは、2024年現在でも通用するくらい原作のクオリティーが高いからだ。でも、このレベルを求めるのは酷なのかもしれないとも思う。

白痴 / 坂口安吾

ぐいぐいと読ませる筆力はすごい。

戦時中の27才というと、年をとっている印象があるが、年相応の青さや狡さを持っていて、それが生々しく書かれていた。

ストーリーとテーマは苦手だったけれど、最後まで読んでしまったのは筆者の力によるところだろうと思う。

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