Mystery Seller

Story Seller シリーズのミステリー版。

短編とはいえ8本ものミステリーを約580ページの文庫本に詰め込むというのは、
おもしろい試みだったと思うんだけど、全体的に完成度が・・・。

島田壮司『進々堂世界一周 戻り橋と悲願花』

140ページも割いているだけあって、それなり。
思想の偏りが目について残念だった。

有栖川有栖『四分間では短すぎる』

ミス研の飲み会を舞台にした安楽椅子探偵モノ。本人登場。
推理要素はないけれど、おもしろい話ではあった。

孫子武丸『夏に消えた少女』

スリードさせてからの、鮮やかなどんでん返し。
この本の中では、最も輝いてる作品じゃないかと。

米澤穂信『柘榴』

ミステリーというよりホラー。「儚い羊たちの祝宴」に近い。
控えめな表現の核心は、生理的な嫌悪感から悲鳴をあげそうになった。

竹本健治『怖い映像』

CMのワンシーンに身が凍り、原因を探る旅に出て失くした記憶に辿りつく。
なんとなく好感を持てる主人公だった。

北川歩実『確かなつながり』

前妻との娘を誘拐された医師。誘拐犯とは旧知の仲。
最後の最後での若干のひねりが絶妙。

長江俊和『杜の囚人』

ビデオ映像の断片を見ているような感覚。
映像作家ならでは、なのかも。

麻耶雄嵩『失くした御守』

失くした大切な御守を探すうちに、心中に見せかけた殺人事件の真相を知る。
言葉遣いの間違いが気になって仕方なかったし、オチも緩くて残念だった。


Mystery Seller (新潮文庫)

Mystery Seller (新潮文庫)