アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』

手塚治虫が漫画の神と呼ばれるのは、彼の漫画のDNAを継承している作品が数えきれないほど存在するからだ。「この設定、どこかで見たことあるな」と思ったら、だいたい手塚治虫の作品を思い出すと既視感の答えが見つかる。

そして誰もいなくなった』もミステリー界の神と信じる。この設定を、やわらかい表現をするならばDNAを、継承したに違いないと考える作品をいくつも読んだことがあるし、フォロワーであることをわざわざ読者に知らせる作家もいる。つまり、究極のベーシック。

ベーシックでありながら、冒頭から結末まで一気に読んでしまうほど面白い。これから先も、何度も何度も繰り返し読むことになると思う。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)