森博嗣「すべてがFになる」

ものすごく端的に説明すると、大学助教授と天才学生(非常に裕福な家系のお嬢さま)が夏合宿先の孤島にある研究施設で事件に遭遇して解決する物語。

天才+天才 vs 世紀の天才という少年漫画ばりの設定にも関わらず、説得力のある天才像を描けるのは、作者が現役の大学教員という職業柄、数多くの天才と関わってきたからだろうか。もしくは、作者本人が才に恵まれた人間なのかも知れない。

ただ、自分(読み手)の職業柄、システム障害やネットワーク障害の解析方法がデタラメなことが目に付いたり、序盤の会話からタイトルが-1またはオーバーフローを示していることが推測できてしまったり、どうでもいいくらいの細かい粗までも気になってしまった。純粋な気持ちで読めたらもっと楽しめたのかも知れない。

この作品を発表した時にはすでにシリーズ完結まで書き下ろしていたらしく、もしかするとシリーズを縦断するような壮大な伏線があるのかも知れない。まだ読んでないからわからないけど。いつか続編も読みたいな。

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)