殊能将之『ハサミ男』

本屋に行くと読み切れないほどたくさんの本が平積みされていて、「○○万部突破!」とか「話題沸騰!」とか購買意欲を煽る(?)ポップが目に留まる。いちおうタイトルや表紙を眺めて、気になったものは手に取ってみるものの、うーん・・・と悩んでしまうときのために、読んでみたい本のリストをネット上にまとめている。そのリストをつくるために名著と呼ばれる本を事前に調べておくわけだけれど、ネタバレしてそうなページを慎重に避けていても、いつか目にしてしまいそうなくらいタイトルを見かける本がある。ハサミ男がまさにそれだ。「ミステリー お勧め」で検索すると必ずと言って良いほどハサミ男が紹介されている。

読み始ると納得。ぐいぐいと引き込まれていき、最後まで一気に読み進めてしまう。地団太を踏むほどではなくても、こともなげに予想を裏切ってくれる叙述トリックは見事だった。

いつか読みたいと思っていたが、ずるずると先延ばしにしてしまい、今年の2月に作者の訃報を聞いて買ってしまった。せめて存命中に読みたかった。

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)