Fantasy Seller

Story Seller シリーズのファンタジー版。

ファンタジーというジャンルが短編に向いているのかも知れない。
それぞれの完成度が高く、最後まで飽きがこなかった。

畠中恵『太郎君、東へ』

河童の大親分・禰々子と利根川の化身・坂東太郎の話。
さらっと読める楽しい昔話。

仁木英之『雷のお届けもの』

人の子から雷の化身になった董虔(トウケン)の話。
董虔の親友であり、雷の王子である砰(バン)が最後まで痛い子だった。

森見登美彦『四畳半世界放浪記』

単なるメタフィクション。森見さんの本を読んだことない人が読んでも何のことかさっぱり。
わざわざアンソロジーに載せるほどのモノじゃないだろこれ。文調は嫌いじゃない。

堀川アサコ『暗いバス』

ファンタジーというよりホラー。
3人目までは胸糞悪い話を集めただけなのかとイライラしていたけど、
4人目からそれぞれの話の繋がりが見え始めて、一本の線になっていく。

遠田潤子『水鏡の虜』

身元は確かながら捨て子になった厨子王丸と、その姉の安寿姫の話。
暗くて息苦しくて、とにかく残酷だった。

紫野貴李『哭く戦艦』

霊力を持つ義手が戦艦の船霊の願いを叶える話。
機知に富んだ会話や個性あるキャラクターが活き活きとしていた。

石野昌『スミス氏の箱庭』

高校に棲む不思議な生き物・スミス氏と、平凡な高校生の交流を描いた話。
ありきたりなキラーネタであるものの、泣いてしまった。

宇月原晴明『赫夜島』

かぐや姫の伝説と平将門を絡めた奇想天外な話。
オカルト好きにはたまらない。漫画にするとおもしろそう。


Fantasy Seller (新潮文庫)

Fantasy Seller (新潮文庫)