横山秀夫『震度0』

キャリア組のなかの落ちこぼれ本部長、キャリア組エリートの長官候補の警務部長、準キャリア組の正義漢の警備部長、ノンキャリア組刑事部長、生活安全部長、交通部長。それぞれのキャラクターが生き生きと、まるで実在する人間のノンフィクションかと錯覚してしまう。特に、生活安全部長の倉本は会話シーンしか書かれていないのに、隠れた強烈な人間性が透けて見える。構成は『半落ち』に近い。思わず最後まで一気読みしてしまう。


阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。県警の内部情報に通じ、人望も厚い不破がなぜいなくなったのか?本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する……。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス!

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)